こんばんは。
これはピカレスクロマンというジャンルだそうです。
ピカレスクというのは悪漢、悪党のことで、
悪党が主役の物語、というほどの意味ですね。
舞台は大正から昭和初期という、遠いような近いような時代。
近代化、洋化をを遂げつつあるカオスな日本の描写が、
なんとも香しくオシャレでドキドキします。
このシリーズは最初からずっと読んでいますが、
一話一話、胸がスッとする読後感が好きなのです。
その大きな要因は、 何と言っても登場人物のスカシた江戸っ子言葉。
殿下閣下もかまいやしねえ、盗られて困らぬ天下のお宝、
一切合財ちょうだいしようじゃねえか。
―振り向いて見れァ千鳥ヶ淵から九段坂、今を盛りの夜桜だ。
大内山から濠ごえの、風が渡ってばっと散らせァ絵にも描けねえ闇の花道。
高麗屋縞の段幕が、ばさりと落ちて音高く、一丁の柝でもへえったと思いねえ。
野郎ども、ぬかるんじゃねえぞ
第一巻「闇の花道」より
こんな調子の芝居がかったセリフが山盛りです^^
ちなみに「一切合財」は「いっさいがっさい」ではなく「いっせえがっせえ」ですよw
抜き出して書くとどうにも白々しいですが、
これがまたたまらないタイミングで出てくるんですよね・・・
各所に現代に対する作者一流の風刺も散りばめられていて、
ハッとさせられる事もありつつ、理屈抜きで楽しめます。
おススメです。
ではまた。
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